コラム
マンションの外壁タイルの種類を徹底解説|磁器質・せっ器質・陶器質の違いと選び方
外壁タイルは、見た目の美しさだけでなく、建物の耐久性にも大きく関わる重要な要素です。しかし、年月が経つとタイルの劣化や破損が起こり、放置すると雨漏りや建物全体の傷みに繋がることもあります。
この記事では、外壁タイルの修繕が必要になるタイミングや、タイルの種類ごとの特徴、適切な選び方、修繕方法、費用を抑えるコツ、信頼できる業者の選び方までわかりやすく解説します。
タイル修繕に悩む方、初めて外壁リフォームを検討している方にとって、役立つ情報を網羅した完全ガイドです。
外壁タイル修繕のタイミングとは?—劣化サインのチェックポイント
外壁タイルの劣化は、目に見えるサインから気づくことができます。以下のポイントを定期的に確認することで、早期修繕につながります。
タイルの浮きがある
タイルが壁から少し浮いている場合は、下地との接着が弱くなっている証拠です。
放置すると落下の危険があり、事故につながる可能性があります。
打診検査などで早めにチェックし、必要に応じて補修しましょう。
特に風の強い地域や高層ビルでは、定期的な点検が重要です。
タイルのひび割れや欠けが見られる
タイル表面にひび割れや欠けがある場合、そこから雨水が侵入しやすくなります。
劣化が進行すると、建物内部までダメージが及ぶことがあります。
小さな割れでも放置せず、早めの補修が建物を長持ちさせる鍵です。
衝撃や凍結による割れにも注意が必要です。
目地にカビ・黒ずみ・割れが出ている
タイルの間にある目地が黒ずんだり、ひび割れている場合、そこから水が染み込みやすくなります。
特に湿気の多い場所では、カビの繁殖が進むと美観が損なわれるだけでなく、構造にも悪影響を及ぼします。
定期的な洗浄や、必要に応じた目地補修が重要です。
放置すると内部の鉄筋の腐食にもつながります。
打診検査で異音がする
打診検査とは、タイルを軽く叩いて音の違いを確認する方法です。
正常な部分は「カンカン」と高い音がしますが、浮いている箇所は「ポコポコ」と濁った音になります。
このような異音がする部分は、すでに劣化が進行している可能性があります。
専門業者による定期的な打診検査が推奨されます。
築10年以上が経過している
外壁タイルは丈夫ですが、築10年を過ぎたあたりから劣化が目立ち始めます。
タイルだけでなく、目地や下地材の寿命にも注意が必要です。
築10年を目安に、一度専門家による外壁診断を受けることをおすすめします。
早期発見・早期対処が費用とリスクの削減につながります。
タイルの基礎知識:磁器質・せっ器質・陶器質の定義とJIS分類
外壁タイルはJIS規格によって、吸水率や焼成温度に基づいて分類されています。これを理解することで、適切なタイル選びが可能になります。
JIS規格で分類されている
日本工業規格(JIS)では、タイルを磁器質、せっ器質、陶器質の3つに分類しています。
この分類は、タイルの性能や用途に関する重要な指標となります。
建物の用途や立地条件に合った素材を選ぶことが、長持ちの秘訣です。
JIS規格に基づく選定は、信頼性のある施工に不可欠です。
吸水率の違いで分類されている
タイルの吸水率は、雨水や湿気の侵入を防ぐ能力に直結します。
磁器質は吸水率0.5%以下、せっ器質は0.5〜3%、陶器質は10%前後とされています。
外壁には吸水率の低い素材を選ぶことで、凍害や劣化を防げます。
用途によって最適な吸水率を選ぶことが重要です。
焼成温度が質に影響を与える
タイルは製造時の焼成温度によって、その硬度や耐久性が決まります。
磁器質は1,250度以上、せっ器質は1,200度前後、陶器質は1,000度程度で焼かれます。
焼成温度が高いほど、硬くて水に強いタイルになります。
建物の環境に応じて焼成温度にも注目しましょう。
磁器質タイルの特徴と外壁修繕に向く理由
磁器質タイルは外壁修繕に最も適しているとされる素材です。その理由は吸水率や硬度、耐久性の高さにあります。
吸水率が低く凍害に強いから
磁器質タイルの吸水率は0.5%以下と非常に低く、雨水や湿気の侵入をほとんど防ぎます。
そのため、寒冷地でも水が内部で凍って膨張する凍害を防ぐことができます。
凍結による割れや剥がれを避けたい場合は、磁器質タイルの使用が最も安全です。
冬季に気温が氷点下になる地域では、特に重要なポイントです。
焼成温度が高く硬度が高いから
磁器質タイルは高温(1,250度以上)で焼かれており、非常に硬く丈夫です。
衝撃に強く、落下物や強風による被害にも耐えやすい素材です。
耐久性が高いため、長期的にメンテナンスの手間が少なく済みます。
耐摩耗性も高いため、汚れや傷にも強いというメリットがあります。
耐摩耗性があり長寿命だから
磁器質タイルは耐摩耗性が高く、風雨や紫外線による劣化が起こりにくいです。
長年使っても色あせや表面の劣化が少ないため、美観を保てます。
長寿命で交換頻度が少ないため、コストパフォーマンスにも優れています。
初期投資は高めでも、結果的に経済的です。
せっ器質タイルの魅力:耐候性と質感のバランス
せっ器質タイルは磁器質ほどではありませんが、吸水率や耐久性のバランスが良く、デザイン性の高さも魅力です。
磁器質より柔らかく加工しやすい
せっ器質は磁器質に比べてやや柔らかく、加工がしやすいという特徴があります。
そのため、複雑なデザインや凹凸のある外壁にも対応可能です。
柔軟な施工が可能なため、リノベーションにも適しています。
部分補修や細かい装飾を施したい場合に最適です。
自然な風合いで意匠性が高い
せっ器質タイルは落ち着いた色味や自然な質感が特徴で、意匠性に優れています。
ナチュラルな外観や和モダンな建築によく合います。
見た目にこだわる外壁リフォームには、せっ器質タイルが選ばれています。
景観に溶け込むデザインを求める方におすすめです。
適度な吸水率で屋外にも対応できる
せっ器質タイルの吸水率は0.5〜3%程度で、適度に水をはじきながら通気性もあります。
極端な凍害は起こりにくく、湿度調整にも貢献します。
通年で気候変動がある日本の気候に適した素材です。
コストと性能のバランスを重視する方に向いています。
陶器質タイルは修繕時にどう扱う?用途と注意点
陶器質タイルは内装に多く使われていますが、外壁に用いる場合は注意が必要です。
吸水率が高く外壁には不向き
陶器質タイルの吸水率は10%前後と高く、水を多く吸収します。
そのため、外壁に使用すると雨水が染み込んでしまい、凍害やカビの原因になります。
外壁への使用は避け、室内や湿気の少ない場所に限定すべきです。
外壁に用いる場合は、防水処理や適切な下地処理が不可欠です。
内装や浴室壁など限定的な用途が多い
陶器質タイルはデザインが豊富で、内装や浴室の壁面に向いています。
装飾性に富んでおり、カラーバリエーションも豊富です。
外観重視のインテリア用途では優れた素材ですが、屋外では制限があります。
使用する際は、施工場所に適した素材かどうかを必ず確認しましょう。
補修には防水性の高い目地材が必要
陶器質タイルは吸水性が高いため、補修には防水性に優れた目地材の使用が必須です。
水が侵入すると下地を傷めるリスクがあるため、丁寧な施工が求められます。
下地処理と目地材選びが、耐久性を大きく左右します。
専門知識のある業者に施工を依頼することが重要です。
吸水率・焼成温度・強度で比べる外壁タイルの選び方
外壁タイルを選ぶ際は、素材の「吸水率」「焼成温度」「強度」の3つの要素を比較することがポイントです。
吸水率が低いほど外壁に適している
吸水率が低いタイルは水分を吸い込みにくく、カビや凍害のリスクが減少します。
特に磁器質タイルは、低吸水率により高い耐久性を誇ります。
長期間、外壁を守りたいなら吸水率は最も重視すべき項目です。
地域の気候に応じて、最適な吸水率を選定しましょう。
高温焼成の方が強度が高い
焼成温度が高いほど、タイルは硬く、耐衝撃性・耐摩耗性に優れます。
磁器質タイルは最も高温で焼成されており、外壁に適しています。
建物の外側は常に風雨にさらされるため、強度の高い素材が必要です。
強風や地震など自然災害への備えにもつながります。
凍害や風化の影響を受けにくい素材を選ぶべき
寒冷地や海沿いの地域では、凍害や塩害によるタイルの劣化が問題になります。
磁器質やせっ器質など、耐候性のある素材が最適です。
立地条件を考慮し、風化しにくいタイルを選ぶことが建物を守る第一歩です。
建物の価値維持にも直結するポイントです。
修繕用タイル選定のポイント:オリジナルとの色・質感の整合性
外壁タイルの修繕では、既存のタイルと見た目が合っていないと、せっかくの補修箇所が目立ってしまいます。色や質感の整合性を意識することがとても重要です。
既存タイルと色が違うと目立つ
修繕部分のタイルの色が、元のタイルとわずかでも違うと、日差しの当たり方によって補修部分が浮き出て見えることがあります。
見た目の美観を保つためには、元の色味に近いタイルを選ぶ必要があります。
色見本を使った照合や、現地での確認を徹底することで、色ズレを防げます。
特に築年数が経って色あせたタイルは、新品タイルと差が出やすいため注意しましょう。
艶や質感の違いで補修箇所が浮く
タイルは色だけでなく、「艶感」や「表面のザラつき」など、質感の違いが補修後の見栄えに大きく影響します。
補修部分だけ艶が浮いて見えると、全体の統一感が崩れてしまいます。
マット仕上げか光沢仕上げかなど、質感まで考慮した選定が必要です。
既存タイルのメーカー名や品番が分かれば、同等品の入手がしやすくなります。
廃盤タイルは類似品の選定が重要
古い建物では、当時使用されたタイルがすでに生産終了になっているケースもあります。
その場合は、現在手に入る中で最も近い類似タイルを探すことが重要です。
専門業者は廃盤タイルの代替品を見つけるノウハウを持っています。
事前に建物の図面や仕様書を確認し、素材情報を把握しておくとスムーズです。
外壁タイル修繕の工程:現地調査から補修、貼り替えまで
外壁タイルの修繕工事は、いきなり貼り替えるのではなく、段階を追って慎重に進める必要があります。正しい工程を知っておくことで、業者選びや工事中の対応にも役立ちます。
打診や赤外線カメラで劣化箇所を調査する
修繕の第一歩は、外壁全体の現地調査です。打診棒を使った音の確認や、赤外線カメラで内部の浮きや劣化状況をチェックします。
目に見えない内部の問題を早期に発見することができます。
プロの調査によって、劣化範囲と原因を明確にし、無駄のない修繕が可能になります。
調査報告書を作成してくれる業者は信頼度が高いと言えるでしょう。
補修・貼り替えは下地処理が重要
タイルを剥がした後の「下地」の状態が悪いと、新しく貼り直してもすぐに浮いてしまう可能性があります。
下地コンクリートの補修や防水処理がしっかり行われているかがポイントです。
見えない部分こそ丁寧な処理が求められます。
短期間で終わる工事よりも、工程に手間をかけている業者を選ぶことが大切です。
施工後の養生で品質が決まる
タイルを貼り終わった後の「養生期間」も非常に重要です。
この期間にしっかりと接着剤や目地材が乾燥・硬化することで、長期的な耐久性が保たれます。
養生をおろそかにすると、剥がれやヒビ割れの原因になります。
工事完了後のアフターケアも含めて、品質管理の徹底された業者を選びましょう。
コーキングや目地の劣化対策とメンテナンス頻度
タイル自体だけでなく、目地やコーキング部分も劣化します。これらの部分が劣化すると雨水が侵入し、建物の内部にダメージを与えることがあります。
シーリング材は5〜10年で劣化する
タイルの間を埋めているシーリング材(コーキング)は、紫外線や気温の変化によって徐々に硬化・収縮し、ひび割れが起こります。
一般的に5〜10年が耐用年数とされています。
耐用年数を超えたコーキングは、雨漏りのリスクを高めるため早めの打ち替えが必要です。
定期的な打ち替えによって建物の防水性能を維持できます。
目地のひび割れから雨水が侵入する
目地のひび割れは、外壁タイルの劣化サインの一つです。
目に見えない隙間から水が入り込み、建物内部の断熱材や鉄筋を腐食させることがあります。
外壁に染みが出る前に、ひび割れに気づくことが重要です。
雨が降った後などは、壁面の色の変化にも注意してみましょう。
定期点検で劣化を早期発見できる
コーキングや目地材は、目視や触診で劣化を確認しやすい部分です。
年に1回程度の簡易点検でも効果があり、早期に問題を発見できます。
大規模修繕を避けるためには、日頃からのチェックが何より大切です。
点検の記録を残しておくと、修繕計画の立案にも役立ちます。
表面保護・クリヤーコーティングの活用方法
外壁タイルの美観と防水性能を保つには、クリヤーコーティングなどの表面処理も有効です。特に築年数の経った建物にはおすすめです。
防水性と耐久性を高められる
クリヤーコーティングを行うことで、タイル表面に防水性のある保護膜を形成できます。
これにより、雨水や汚れがタイル内部に染み込むのを防ぎます。
タイルそのものを傷つけず、耐久性を向上させることが可能です。
施工後のメンテナンス回数も減らすことができます。
美観を長く保てる
コーティングをすることで、タイルの光沢や色味が長く保たれます。
特に日差しが強い地域では、色あせや白化の防止にもつながります。
築10年以上経っても、新築のような見た目を維持することができます。
不動産価値を保つ目的でも有効です。
汚れやカビが付きにくくなる
コーティングは汚れやカビの発生を抑える効果もあります。
水をはじく性質があるため、雨と一緒にホコリや汚れを洗い流してくれます。
日々の掃除が楽になり、清潔な外観を維持しやすくなります。
賃貸物件など、管理の手間を減らしたい建物にもおすすめです。
修繕コストの抑え方:部分補修・助成金・無足場工法
外壁タイルの修繕は費用がかかるイメージがありますが、工夫次第でコストを大きく抑えることも可能です。ここでは費用を抑えるための3つの具体的な方法を紹介します。
劣化箇所だけを直せば費用が抑えられる
全体を貼り替えるのではなく、劣化や剥離のある部分だけを部分補修することで費用を大幅に抑えることができます。
点検で把握した劣化範囲をもとに、必要な箇所だけをピンポイントで修繕するのがポイントです。
まだ使用可能な部分はそのまま活かすことで、無駄な出費を防げます。
ただし、広範囲に劣化が進んでいる場合は、逆に全面補修のほうが長期的には経済的な場合もあります。
自治体の助成制度を活用できる場合がある
多くの自治体では、住宅のリフォームや外壁の補修に対して助成金を出していることがあります。
申請には事前の届出や、地元業者を使うなどの条件がある場合もあります。
外壁修繕を考えているなら、一度お住まいの自治体の制度を確認してみましょう。
地域によっては補助額が10万円〜20万円になることもあります。
足場不要の工法ならコストを大幅に削減できる
高所の外壁修繕では通常、足場を設置する必要がありますが、「無足場工法」と呼ばれる技術を活用すればこのコストを削減できます。
高所作業車やロープアクセス技術を使って、必要な場所だけを施工する方法です。
足場代がかからないため、全体の費用を30%以上安く抑えられる場合もあります。
特に部分的な修繕や、小規模な工事には有効な選択肢です。
施工業者選びのチェックリストと注意ポイント
外壁タイルの修繕工事を成功させるには、施工業者選びがとても重要です。ここでは信頼できる業者を選ぶためのチェックポイントを解説します。
外壁タイル専門の実績があるか確認する
タイル施工には専門的な技術が必要です。業者の中には外壁塗装がメインで、タイル工事は経験が少ないところもあります。
過去の施工事例や実績、資格の有無などをしっかり確認しましょう。
「タイル一級技能士」などの資格を持つ職人が在籍している業者は信頼性が高いです。
地元での実績があるかどうかも、選定の参考になります。
無料調査を行っている業者を選ぶ
信頼できる業者は、現地調査を無料で実施し、詳細な診断書や見積もりを提示してくれます。
費用がかかる業者もありますが、初めての修繕であれば無料で対応してくれる業者の方が安心です。
見積もりや調査内容が明確な業者を選ぶことが、後々のトラブル防止にもなります。
最低でも2〜3社から相見積もりを取るのが賢明です。
保証内容とアフターサービスを比較する
施工後に不具合が発生した場合に備え、保証内容を事前に確認しておきましょう。
保証期間が長いほど、工事の品質に自信がある証拠とも言えます。
また、定期点検やアフターサービスがある業者であれば、長期的な安心感があります。
保証書を発行してくれるかどうかも必ずチェックしましょう。
まとめ:外壁タイル修繕で建物を長寿命化し、美観もキープしよう
外壁タイルは見た目の美しさだけでなく、建物の耐久性にも大きく影響する重要な素材です。劣化のサインを見逃さず、適切なタイミングで修繕することで、雨漏りや構造の腐食を未然に防ぐことができます。
タイルの種類には磁器質・せっ器質・陶器質があり、それぞれに特長と適した用途があります。吸水率や焼成温度、耐候性などの基準を理解した上で選定することが、長寿命の秘訣です。
修繕時は、オリジナルタイルとの整合性、費用を抑える工夫、そして信頼できる業者選びがポイントです。
この記事の内容を参考に、正しい知識と判断で、あなたの大切な建物をしっかり守っていきましょう。
外壁タイルの補修ならKFタイルホールド工法をお試しください
今回の記事では、マンションの外壁タイルの種類について皆様にご紹介しました。
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