kfタイルホールド工業会

コラム

タイル剥落防止工法の変遷と新塗料の登場

この記事で分かること
マンションの外壁タイル剥落は大きな問題
タイル剥落防止工法は進化している
塗料を塗るだけで剥落を防止できる工法が2022年登場した

近年、外壁タイルの落下による被害が大きく取りざたされるようになってきています。

かつて、外壁タイルはそれ自体が劣化しにくく、また重厚感のある仕上がりが魅力であり、ビルやマンションで多く取り入れられていました。しかし、1989年に外壁タイルの落下事故が起こり死傷者で出てしまったため、外壁タイルも劣化・剥落の恐れがありメンテナンスが必要だという認識に変わりました。現在でも、外壁タイルの剥落事故は毎年発生しておりオーナー様にとって頭の痛い問題となっています。

タイル剥落事例

タイル剥落したマンションの事例

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そんな中、外壁タイルの落下を防ぐ工法も年々進化してきています。

今回はタイル剥落防止工法の種類と変遷についてご紹介します。

タイル剥落防止工法の変遷

外壁タイルを補修する工法

従来の外壁タイル補修工法は、タイルが浮いた部分を補修するだけのシンプルなものでした。補修方法は大きく2つあり、「外壁タイルの張替え」と「アンカーピンによる外壁タイルの固定」です。両工法とも異常部分のみを補修する対処療法であり、補修しなかった部分はいつか浮きを生じ落下してしまう危険が潜んでいます。

その結果、1990年代に予防保全工法として「ピンネット工法」と呼ばれる新たな工法が登場しました。

ピンネット工法

ピンネット工法とは読んで字のごとく、”ピン”と”ネット”で外壁タイルの剥落を防止する方法です。外壁タイルは落下するという前提から、一定の間隔で外壁タイルにアンカーピンを打ち固定し、その上からネットを被せ、透明樹脂でコーティングする工法です。ピンネット工法は、外壁タイル剥落防止の予防保全が取られているため非常に優れており、多くの現場で採用されました。しかし、仕上げ塗料によって意匠性が変わってしまったり、工程が多いことからコストがかかり過ぎてしまったりすることがネックでした。

そこで私たちは「KFタイルホールド」というピンやネットに頼らず塗料の強靭さで剥落防止工法を生み出したのです。

塗料による剥落防止工法

これは、剥落防止工法の第三世代の幕開けともいえます。

KFタイルホールド工法は、ただ外壁面を塗装するという非常にシンプルなものです。ポリウレア樹脂塗料をメインとしており、柔軟性が高く、驚異的な強靭性を誇るため、ピンを打たずして塗布するだけでタイル剥落を封じることができます。

この驚きの方法、KFタイルホールド工法に使用されている塗料について、もう少しお話しさせていただきます。

KFタイルホールドはどんな塗料?

KFタイルホールドは1液タイプの塗料です。一般的には、1液タイプは2液タイプと比べると反応硬化を伴わないため、塗膜の強靭性が乏しく、また日の光に晒されると劣化するといったことが言われています。しかし、KFタイルホールドは空気中の水分に触れると反応が始まる硬化剤が内在されているため、2液タイプと同じ反応硬化が得られる独自技術を取り入れております。

KFタイルホールドは、ポリウレア樹脂という強靭で柔軟性に優れた樹脂を主成分としています。この樹脂はその特徴から防弾チョッキや駐車場床のコーティング材などに使用されることが多い素材です。外壁タイルの剥落防止工法に合った塗料を樹脂の設計から開発を行い完成させたものです。

従来の剥落防止用の塗料は水性アクリルシリコン樹脂系のクリヤー塗料を使用することが一般的で、10~15年経つと日の光に晒されて塗膜が割れて外壁タイルから剥がれるため白く濁ってしまいます。そのため、意匠性が崩れてしまいがちです。それに対して、KFタイルホールドは耐候性に優れており、白く濁ることもなく、光沢感を保つことができるのです。剥落防止の観点だけでなく、建物の見た目を維持する上でも、とても評価されているのです。

KFタイルホールドは、首都高のメンテナンス工事から生まれた

アンカーピンやネットを必要としない、塗料だけによるタイル剥落防止という発想は、首都高のメンテナンス工事から生まれました。コンクリート壁はひび割れを起こすと雨水が入ることで鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートが爆裂してしまいます。この爆裂を防ぐためにKFタイルホールドの前身となる塗料が、首都高のメンテナンス工事で大活躍しています。

「塗膜でコンクリートの劣化を抑える」

この発想をタイルに応用できないかと考えたことが「KFタイルホールド」発明のきっかけです。

錆の発生を抑制でき、万が一コンクリートが脱落しても支えられる強靭な塗膜だから、外壁タイルに塗るだけで剥落を抑制できる夢のような塗料を開発することができるのではないだろうかと考えられたのです。

そして、KFタイルホールドの魅力を語る上で欠かせないのが強靭性に加えた防水性です。

外壁タイルが剥落する過程では、劣化した目地に雨水が入り外壁タイルが浮いた箇所に水が溜まる、ということが繰り返されます。その結果、はらみが生じて最終的に剥がれてしまうのです。つまり、剥落を防止するためには、外壁タイルの目地からの雨水侵入を防止することが最も重要であるということです。

KFタイルホールドは、「雨水を内部に侵入させない防水性」、「浮いた外壁タイルを落下させない強靭性」、「外壁タイルの汚れがつきにくく、劣化を防ぐ耐候性」、「透明で見た目が変わらない意匠性」の4点を兼ね備えつつ、ピンネット工法と比べて大幅に減った工程数によりコストカットまで実現しました。そんな、奇跡の剥落防止塗料なのです。

KFタイルホールドが示した驚異の結果

では、実際に検証した結果を見てみましょう。今回、促進耐候性試験という実証実験を行いました。この実験では、タイルではなくサイディングを劣化させています。

まず、スーパーUVで600時間サイディングを照射し、劣化した状況をつくります。スーパーUVの照射50時間が通常の日光1年分に値しますので、計12年相当直射日光に晒されたということになります。

そこに、
①何も塗布しなかったもの
②弊社別製品
③KFタイルホールド艶あり
④KFタイルホールド3部艶の4種類を塗り、さらにスーパーUVで1000時間(日光で20年相当)照射する実証実験を行ないました。

みなさん、百聞は一見にしかずですよ。結果はこちらです。

①の何も塗布しなかったサイディングボードは膜が剥がれてしまい、セメント層が見えています。次に、②弊社別製品(クリアコーティング剤13年耐候性を持つもの)を塗布したものは薄く白くなってしまっています。

しかし、驚くべきことに③と④のKFタイルホールドは艶あり、3部艶ともに見た目における劣化が全くなかったのです。特に、艶ありの方は光沢感も残ったままです。

この実験により、KFタイルホールドの耐候性の高さ、そして、意匠性をいかに保てるかがおわかりいただけたことでしょう。

そして、強靭性についても以下の引張り試験で驚異の数字を叩き出しています。

なんと、3t以上の負荷をかけても剥落していません。通常の環境でこれほどの負荷がかかることは通常あり得ないため、いかに、KFタイルホールドを塗布すれば剥落リスクを限りなく下げられるかが分かります。

KFタイルホールド工業会について

KFタイルホールドは塗料のみで剥落を防ぐことができますが、膜厚管理など施工方法にも知識を要します。そこで加盟店制度を採用し、研修を受けて正確な施工ができる会社による責任施工となっています。

ご相談いただけましたら、お近くの施工店をご紹介させていただいております。

大手デベロッパーも注目し、採用し始めているKFタイルホールド。

ぜひこの塗料を塗布してタイル剥落の不安や悩みから解放されましょう。

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